役にたたない日々

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役にたたない日々」佐野洋子著  朝日文庫                                                         
佐野洋子さんの本は、母と娘の葛藤を書かれた「シズコさん」(私の本棚に2009年2月1日に紹介)が初めてでした。正確に言えば「100万回生きたねこ」をその前に昔読んだはずでしたが詳しく覚えてなくって「シズコさん」を読んでから読み直しました。

その後、「あれもきらい、これも好き」(私の本棚に2010年11月24日に紹介)を読み、「おれはねこだぜ」という絵本を読み、私とはかなり違う感性を持っておられる方だなあと魅力を感じていました。

5~6冊読んだだけで決め付けてはいけませんが、佐野洋子さんに持った感想は、現実の生活を楽しく受け容れながらも満ち足りた思いを持ったことのない方ではないかということです。<幸せを感じるのに罪悪感を持ってしまう>と言うような感じ。もちろん私の勝手な独断と偏見です。

今回、若い男友達のお母さんが佐野洋子のファンだと聞いて興味をもち、著者が癌で亡くなる最後のエッセイ集「役にたたない日々」を求めて読みました。

「役にたたない日々」という題名からもわかるように、癌を患いあと2年の命と宣言されていても、それがラッキーと淡々と受け入れ、日常の生活の中にまみえる掛替えのない大切な思いを、むしろ淡々と「役に立たないつまんないことだけれど、、、」といったノリで書かれた深い思いの籠もったエッセイです。

でもでも、彼女の言葉のいいまわしかたにはついていけません。例えば<泣いたら腹がすいたので、タッパーから野菜をどんぶりにとりわけてドレッシングをかけて食った。・・中略・・しかしこれ食いきるのに1日半、5回は食わねばならんなあ。>

私は食べ物を<食う>と話すことないのだけれど、、、<食う>という女友達も周りには1人もいないのだけれど、、。

<子供の頃は庭でしゃがんで小便をすると小便の勢いで地面に穴があいた。その穴に蟻がおぼれたりすると本当に嬉しかったものだ。>

実を言えば私も同じ体験をしたことがあり情景は分かるのだけれど、<庭でしゃがんで小便をすると小便の勢いで地面に穴があいた。>などという言い回し方は絶対に出来ないわ。

佐野洋子さんは谷川俊太郎と結婚されたことがあるのだけれど、彼との会話の中でそんな言葉使いをされていたのだろうか?それともエッセーではわざとガラの悪い言葉を書かれているのだろうか?

色々興味をそそられる作家である。


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