海辺のカフカ

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「海辺のカフカ」村上春樹 著
面白くて面白くて一気に読んだ。

主人公は15歳の少年。4歳のとき少年を父の元にのこし母は姉を連れて出て行ってしまう。それっきり母とは音信普通である。
もう一人の主人公は東京中野区に住むナカタさんという猫と話の出来る不思議なおじさん。

少年はある日父親からかけられたという「呪い」に立ち向かうために四国の高松に何かに導かれるように家出をする。
猫と話せるナカタさんは、昔事故にあって以来、字も読めず計算も出来なくなったのだが、性格は大変魅力的で、猫さんとの会話は絶妙である。村上春樹氏は愛猫家だけあって猫の描写は真に迫っていて面白い。
ナカタさんは猫と会話が出来るので、迷い猫を見つけ出す仕事をアルバイトでしているのだが、ある日思いがけない事件に巻き込まれ四国に向かう。

2人の話は1章ずつ交互に展開していくが、徐々に関連してくるように話は進む。

現実と非現実との境をクロスさせながら、奥深い森に潜む神秘の世界の中に戦争や暴力についての批判精神などがさりげなくしかもしっかりと組み入れられ、とても魅力的に語られる。

15歳の少年田村カフカ君の純粋な生き様と戸惑い、ナカタさんを支えるホシノ青年も良いし、とにかく他の登場人物すべてが訳ありでしかも魅力にあふれている。

夏の終わりに良い本と巡り合えて満足でした。

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コメント(2)

私は、一応ハルキストですので、彼の小説はすべて読んでいます。
「海辺のカフカ」のナカタさんには、私もぐっときました。ホシノ少年もよかったですよね。
「1Q84」も読みました。終わり方が納得いかないなあ・・と思っていたら、どうやら続編が出るようですね。

でも、私は彼の作品の初期、「風の歌を聴け」とか「1973年のピンボール」「羊をめぐる冒険」「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」あたりが今でも一番好きかも。

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