シズコさん

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「シズコさん」 佐野洋子著 新潮社
「一度も好きじゃなかった母さんへ、ごめんなさい、ありがとう。」
母親との関係に悩んでいるすべての人へ、、、。
全国から共感の声が届いています!5万部突破。
それが、帯に書かれた、キャッチフレーズです。

カミ?ユ・クローデル(2008.11.9記載)のことを教えてくれた友人が、同時に「シズコさん」の本に触れられていたので購入しました。
私の母親はもうすでに亡くなり、私には娘がいないので、あまり興味を引かれませんでしたが、友人は、女性(娘)が生きていく上に、“母親との関係が、いかに重要な鍵を握っているか”をテーマに学究しておられて、彼女の論説も聞いてみたいので読みました。それと、私が自分の母親との関係を思いかえすのもいいかなとも思って。

「シズコさん」の娘である洋子さん(著者)は、母親からは愛情を感じられない意地悪な育てられ方をし、母親を恨み大嫌いになってしまう。
母に反発し反抗しながら成長し、結婚し子供も産み大人になって、ようやく母親の気持ちも少しは理解出来るようにはなるけれども、決して母親を好きにはなれず許すことが出来ない。
母親が老い、介護が必要になったとき、母親を介護しなくてはならないという義務感から、高額な介護センターに入居させるが、「親を捨てた」という自責の念も捨てきれなくて苦しみます。でも愛することが出来ない。
ボケ始め老醜をさらす母を冷たく見ながら、嫌悪感と戦うこと数年。ようやく母から受けた仕打ちだけではなく、母から受けた恩恵も感じるようになります。
そして、洋子さんは、母親がすっかりボケてしまたある日、突然、初めて母を愛しいと思う気持ちが忽然と沸き起こったのです。
<<私は「こころ」というものがあるなら、母さんに対してそれを麻糸でぐるぐる巻きに固く固く何十年も縛り込んでいたような気がする。その糸がバラバラにほどけて、ラクに息が出来て生き返ったような気がした。>>
「母さん。ごめんね、ありがとう」の言葉が出て、読者の私も肩から力が抜けました。

最近、親の子に対する虐待のニュースが跡をたちません。親は、子供に対して酷い仕打ちを平気でして、そのことをすぐ忘れますが、子供のほうは決してその仕打ちを忘れず許せない気持ちを持ちつづける。ということを聞いた事があります。しかしその一方で子供は、親からどんな仕打ちを受けても、親を恨みながらも、親を愛し親を見放さないそうです。

切っても切れぬ親子の縁。
私は息子達にこれまでどんな影響を与えてきたんだろうか。私が要介護になった時、それがどんな風に現れてくるのか心配になりました。

ボケてから愛されてもなあ、、、。

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読書・映画・ドラマetc覚書(アメブロ版) - シズコさん  佐野洋子 (2009年2月14日 12:15)

シズコさん/佐野 洋子 佐野洋子 新潮社 2008  著者の自伝的小説。ノンフィクションなのか、フィクションなのか、書いてなかった... 続きを読む

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