「野ばら」林眞理子著 文春文庫
友達が「しょうもない小説だけど読む?捨ててくれていいわ」と渡してくれた本である。
本当にしょうもなく、つまらない本だった。でも、いやな話だなあと思いながらも最後まで読んでしまったのは、林眞理子の洒脱で軽妙な文章のためだろう。
主人公は、宝塚の女優千花とその親友である雑誌社のライター萌の2人の20代の女性である。
千花は歌舞伎界のプリンス目される梨園の御曹司と恋愛中で、宝塚ではトップスターになれないと気付きはじめ、その御曹司とあわよくば結婚できるんじゃないかと思って逢瀬を楽しんでいる。萌は50歳も過ぎた作家に夢中になり、相手には病気の妻がいるのを知りながら作家を誘惑し自分のところに引きずりこんでしまう。
結局千花は歌舞伎役者に騙され捨てられ、萌も夢と現実とのギャップを思い知らされるという、甘く苦い青春を描いた恋愛長篇小説である。
著者の林眞理子さんは、日本文化や華やかな社交界などに興味をもってられて、結構つっこんだ取材をされ、ご自分もそのような社会に入り込み楽しんでおられることを、エッセイによく書かれているから、宝塚のことや歌舞伎界のことには詳しいとは思う。
だから、この小説にあるように、宝塚のズカガールはみんな、トップスターになるために仲間を蹴落としたり有名人の愛人になることを夢見る人の集団であるような、又、歌舞伎役者はみんな浮気ばかりしているような世界かなと思わされてしまう。
巻末の解説で作家の酒井順子さんが、<宝塚と歌舞伎という日本のキラキラ界におけるその絢爛さと濃厚さを味あわせてくれた小説>と絶賛されているが、私は全く共感出来ず、「しょうもない小説だった、費やした時間がもったいなかった」と思った。
でも可笑しい事に捨てる気がしないで、「しょうもない本だったけど読む?捨ててもいいよ」といって次の友達に渡したのでした。
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