2010年7月アーカイブ

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「マルガリータ」村木嵐 著 
クアトロ・ラガッティでもとりあげた天正少年使節、遣欧少年4人のうち、いち早く棄教した千路和ミゲルについてのお話です。
4人の使節少年は12歳のころ派遣され華々しくヨーロッパで迎えられ多くの文化を吸収して8年のあと日本に戻ると時代は信長から秀吉に変わりキリスト教迫害のまっさだなかに帰国することになる。

4人のうち3人はキリスト教を捨てず布教に力を尽くし2人は病死、中浦ジュリアンは逆さ吊りの刑をうけ殉教する。棄教した千路和ミゲルだけは遺された史実はなく、「マルガリータ」はミゲルの苦しみを想像して書かれた小説です。

私がもしその時代に生まれキリスト教信者であったなら絶対すぐに棄教して殉教はしないと思うのでミゲルの生涯には非常に関心がありました。
フィクションではあるが背景にある史実の裏付けのうえに書かれていて、もうこれが真実だとほとんど信じ込んでいる。

棄教した多くのキリシタンがキリシタンを迫害する側になることも多い中、ミゲルはキリシタンからは裏切り者あつかいにされ、幕府からもやっかいものあつかいされながら、心の中では信仰を守りいつも3人のことを案じ、3人も棄教したミゲルのことを信じ続けていた。

江戸川乱歩賞を受賞し新聞紙上でも絶賛されていただけあって、本当に清らかで泣ける良い本だった。

クアトロラガッティは、何人もの人に殆ど強制的にちかく薦めたが、話にのって読んでくれた人には、またまたマルガリータを勧めたい。

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「猫を抱いて象と泳ぐ」 小川洋子著
久しぶりの小川洋子です。
以前から気になっていた「猫を抱いて象と泳ぐ」を読みました。

今回の小川洋子ワールドはチェスの世界。

「博士の愛した数式」では数字の不思議、数式の美しさを、少年と数学博士との友情のなかに編みこまれた絶品でしたが、今度は、チェスゲームの展開を、唇が閉じたまま生まれたというハンディをもつ少年により、大海の水面にゆったり揺らぐメロディを奏でるように棋譜の美しさが描かれ、読者はチェスの世界に引き込まれます。

その世界は紛れもなく小川洋子ワールドで、とても自然なのに現実には在りえないシュールの世界が魅惑的に広がります。
著者の描く訳ありの少年少女達は、どうしてこうも無垢で魅力があるのか!
どの著作を読んでも心が洗われます。
そこが村上春樹のえがくシュールの世界と違います。

ずっと忙しい毎日が続く中で久々に現実から離れた静寂な世界で遊ばせてもらえました。

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