2009年10月アーカイブ

「戦場から女優へ」サヘル・ローズ著
イラクの首都バグダットで10月25日、連続爆弾テロがあり、136人が死亡、600人近くが負傷したという。バグダットでは8月にも政府庁舎を狙ったテロがあり、このときも100人以上の死者がでた。(10月26日朝日新聞)

1980年に始まったイラン・イラク戦争は1988年8月に停戦の合意に達しましたがその後も紛争は絶えていません。

自爆テロは日本人の感覚では全く理解しがたい行為で、それによって亡くなった方も勿論無念ですが、命が助かっても、身内は全部死に一人生き残ったり、怪我の後遺症の苦しみに苛まれている人々の、肉体的精神的痛みはいかばかりか想像も出来ません。

「戦場から女優へ」を書いたサヘル・ローズさんは、1989年のイラクによる空爆で破壊された町の瓦礫に埋まり、両親兄弟全員が一瞬に死んだ中、ただ一人生きていました。4歳でした。

3日間も埋まったままにいた時、テヘランの大学で心理学を学んでいたフローラがボランティアで駆けつけサヘルを発見します。サヘルは命が助かり孤児院に引き取られます。

一方サヘルのことが気がかりでならないフローラは、結局サヘルを養女にして引き取ります。フローラは裕福な両親から勘当され無一文。日本人のフィアンセを頼ってサヘルをつれ日本にやってきます。サヘルは8歳でした。

フィアンセが優しかったのは1週間。彼は心変わりをし2人は又無一文で彼のアパートを出て、行く当ても無く野宿します。

それからの苦難の日々。学校でのはげしいイジメと貧困。サヘルが中学を終えるまで続きます。高校になって初めて、人間らしい生活が出来るようになり努力の末女優への道が開けてきます。

日本で女優として認められ歩みだしたサヘル。
サクセスストーリーと一言では決して片付けられない重く深い思いが伝わってくる本です。

世界のあちこちで頻発するテロによる破壊と虐殺。報道の裏には何万人もの人々が理不尽な苦しみを押し付けられている現状を、私たちはいつも認識しておかねば、いつまでたっても平和な世界は実現しないでしょう。

私に一体何が出来るんでしょうか?
考えさせられた本でした。


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「人は思い出にのみ嫉妬する」 辻仁成 著
・ ・この物語は、水と思い出を巡る、物語でもある。・・
という文章でこの話は始まります。

戸田悠仁と愛麗と栞と安東準という4人のからみあった恋愛と嫉妬のもつれが、あたかも雨が蒸発し又降って又蒸発するように、人間の愛も心の中に生まれそして消え又生まれると、、、。
結構ドロドロした関係を、水が流れるようにすっきり物語りにまとめてあります。
'カタリテの私'が物語を進めるので、舞台の劇を見ているような感じの小説です。

辻仁成さんは、売れっ子の作家だけれど、なんだかキザでこれまで敬遠していました。
彼ってフランスに居を移しているんですよね。
この1冊で決め付けちゃいけませんが、やっぱりキザかな。ちょっと苦手かな。

それを確かめるためにも、他の作品を読んでみたくなっております。

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「幸福の軛(くびき)」清水義範著
清水義範のカラーからは少々異色に感じる社会派ミステリー。

主人公中原雅之は大学の教育学部の助教授を務めるかたわら、臨床心理学の知識をいかし教育カウンセラーとして社会的にも認められている。

<子どもの声なき悲鳴に耳をかたむける>をかかげ大学の研究室から離れて、自分の教育カウンセリング事務所を開くところから話ははじまる。

少年犯罪・イジメ・虐待の事件にかかわる中での、連続殺人事件。被害者を含む関係者の断片をつなぎ合わせるうち、あぶりだされてくる社会の暗部。

問題行動を起こす子どもの背景には、壊れた家族・壊れた社会がある。熱心なカウンセラーである中原自身の中にも潜む暗い深層心理もかぶせて事件が解き明かされていく。

最後に分かる意外な犯人。

著者の作品の中にいつも見え隠れする皮肉な社会の裏表が、ユーモアではカバーできない深刻な問題として浮かび上がります。

教育学出身の著者として、教育に対する問題意識をも提議する読み応えのあるミステリー小説でした。

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PICT0470.JPG「宇宙への秘密の鍵」ルーシー&スティーヴン ホーキング 著

今夜は十五夜。
まんまるに輝く素晴らしいお月様を仰ぎ見て、今夜にふさわしい本の紹介です。

この本は、アインシュタインに次ぐという有名な車椅子の宇宙科学者であるスティーヴン ホーキンズ博士とその娘ルーシーの共著で、子供たちに宇宙の神秘と素晴らしさを告げたいと願って書かれました。
宇宙全体の不思議についてワクワクするような話がいっぱい詰まっています。

孫のために買い求めたこの本を読んで、私も子どもにかえりすっかり天体の魅力にとりつかれました。

主人公は小学生のアニーとジョージです。
ルーシーのお父さんは宇宙のことを調べるためにコスモスという名前の不思議な最新式のコンピューターを作って研究しています。
そのコンピューターを操ると、ドラえもんに出てくる「どこでもドア」のような扉がコスモスの裏に出てきてそこの中に飛び込むと宇宙を旅することが出来るのです。

アニーとジョージはそのドアから宇宙に飛び出し、彗星に乗り、太陽の回りを飛ぶと言う体験をします。そして地球を外から見て、私たちの地球が壊れやすい特別な惑星であることを理解するのです。

この本では宇宙に隠された数々の真実の鍵を解きあかされていますが、専門家のホーキング博士によるもので想像の世界ではなく、理論物理学にそって宇宙の不思議な仕組みが説かれ、博士の娘のルーシーさんが子供にも分かりやすく楽しい物語にして書かれています。

地球滅亡の危機がささやかれる今日この頃、地球を救うためには、宇宙に目を向ける必要があることに充分納得させられました。

先日、日本のロケットの打ち上げが成功しました。膨大な費用がかかっていますがそれだけ重要な使命をもっています。宇宙開発は金食い虫などと言わず研究に理解を示しましょう!
・・・・息子がロケット開発の仕事に関わっておりますものでつい余計なことまでを、、、。

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