2009年9月アーカイブ

「ねじまき鳥クロニクル」村上春樹著
舞台は1984年の冬。あ、そういえば最近出版された村上春樹の話題の本題が「1Q84」だから、著者にとって1984年は特別の年なのだろうか?1Q84をまだ読んでいないので分かりません。

第一部・泥棒かささぎ編 第2部・予言する鳥編 第3部・鳥刺し男編からなる文庫本3冊の長編小説です。

主人公は岡田トオル。彼は会社を辞め日々家事を営む有能な主夫で、妻の「クミコ」は雑編集者として働くキャリアウーマンです。それなりに平穏に過ぎていく日々でありました。ところがある日、飼い猫が失跡し、トオルは毎日飼い猫を探し求めるのですが、そのうち妻のクミコまでもが失踪し、色々不可思議な人物や事件に遭遇し夢だか現実だか分からない世界に巻き込まれ妖しい生活が始まります。

そのクミコを探し取り返すまでのストーリーと言えるのですが、ストーリーより著者の訴えたいテーマが、現実と夢(希望の夢でなく眠って見る夢)や妄想をからませて書かれています。村上春樹の小説としては「初めて戦争等の巨大な暴力を本格的に扱っている」と言われていて、妻の失踪を解き明かすストーリーとしては、ノモンハン事件や日ソ兵の残虐な行為など、あまりにも多い複線に戸惑い、ややこしく重い世界観を理解するには、私は未熟者であることが分かりました。でも登場人物はそれぞれ奇抜で惹かれるものがあり面白く読みました。

「1Q84」がBook Offに 現れるのを待っているのですが、早く読んでみたいと思いました。

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「きつねのはなし」森見登美彦著
きつねのはなし:古道具屋から品物を託された青年が訪れた奇妙な屋敷。彼はそこで魔に魅入られたのか。美しく怖ろしくて愛おしい、漆黒の京都奇譚集。

小説の舞台を読者がよく知っている場所かどうかで随分面白さがちがうと思う。
「きつねのはなし」の舞台は京都で、京都の中でも私が生まれ育った場所近辺での話で、特別面白く読みました。

現実と妄想とが織り成す妖しい話。

京阪電車、鴨川、荒神橋、出町柳、修学院、北白川(私の生家があります。)、吉田山(京大の横)、浄土寺、鹿ケ谷(ここに母校ノートルダム女学院があります。)、南禅寺、疎水、蹴上、、、。

中でも吉田神社の身も凍るような寒い節分のおどろおどろしい情景は今でもはっきり思い出すことが出来ます。
きつねのお面屋さんやらの出店もあったし、見世物小屋に蛇女とかがいるとかでドキドキしながら前を通ったものです。

'桜の木の下には死体が埋まっている'とよく言われるけれど、京都って確かに雅の奥に秘められた妖しい雰囲気の漂う街ですねえ。祇園の舞妓さんたちの中にもそんな感じがあるし、、。

京都に興味のある方はそんな世界をのぞいてみてください。

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「海辺のカフカ」村上春樹 著
面白くて面白くて一気に読んだ。

主人公は15歳の少年。4歳のとき少年を父の元にのこし母は姉を連れて出て行ってしまう。それっきり母とは音信普通である。
もう一人の主人公は東京中野区に住むナカタさんという猫と話の出来る不思議なおじさん。

少年はある日父親からかけられたという「呪い」に立ち向かうために四国の高松に何かに導かれるように家出をする。
猫と話せるナカタさんは、昔事故にあって以来、字も読めず計算も出来なくなったのだが、性格は大変魅力的で、猫さんとの会話は絶妙である。村上春樹氏は愛猫家だけあって猫の描写は真に迫っていて面白い。
ナカタさんは猫と会話が出来るので、迷い猫を見つけ出す仕事をアルバイトでしているのだが、ある日思いがけない事件に巻き込まれ四国に向かう。

2人の話は1章ずつ交互に展開していくが、徐々に関連してくるように話は進む。

現実と非現実との境をクロスさせながら、奥深い森に潜む神秘の世界の中に戦争や暴力についての批判精神などがさりげなくしかもしっかりと組み入れられ、とても魅力的に語られる。

15歳の少年田村カフカ君の純粋な生き様と戸惑い、ナカタさんを支えるホシノ青年も良いし、とにかく他の登場人物すべてが訳ありでしかも魅力にあふれている。

夏の終わりに良い本と巡り合えて満足でした。

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